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第15話 いい歯医者さんに会うには患者側の努力も必要…

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歯科医師により、それぞれ得意な分野と不得意な分野があります。都合のいい情報だけをうのみにせず、正しい情報を取捨選択する力を養うことが大切
歯ぎしりからくる頭痛

  「もっといい歯医者さんに会いたい…」。そう思ったことはありませんか。「おすすめの歯医者さんは?」と家族や友人に聞く前に、全国に在る多くの歯科診療所の中から自分に合った「いい歯医者さん」と巡り合うためには自身が「選ぶ目」を養う必要もあります。


 治療後に痛みが出た」「ちゃんと説明してもらえない」「高額な治療ばかり勧められる」など、歯科医師に対する不満はさまざまです。 厚生労働省の調査によると、歯科診療所の数は全国で6万8千軒以上(2015年10月1日時点)で、歯科医師1人あたりがみる人口に換算すると、平均1244人となります。 歯科医院が多く、受診先を選べることは悪いことではありませんが、看板だけではどんな歯科医院なのかわかりません。法律で広告することが認められている標榜科は「歯科」「口腔外科」「矯正歯科」「小児歯科」の四つで、それだけでも、迷ってしまう人もいます。

 

  「いい歯医者さん」に巡り会えない原因の一つとして、歯科医師の技術・知識・経験不足、患者への説明不足、患者のニーズに対する理解不足などが挙げられます。

 歯科医師になるためには、大学の歯学部を卒業し、歯科医師国家試験に合格することが必要ですが、試験に実技試験はありません。歯学部では実習があり、卒業後は1年間の臨床研修が義務づけられていますが、そこで経験する治療は初歩的なものといわれます。そのため、研鑽(けんさん)途中の歯科医師もいますし、自ら努力して技術や知識を修得し、経験を積んで腕を上げる努力を怠り、何年たっても技術が未熟なままの歯科医師もいるかもしれません。

 

 また、腕がいいだけでは「いい歯医者」とは言えません。「この症状の原因は何か」「どのような治療が必要か」など、病気や治療について説明する能力や、患者の生活背景を知り、患者がどのような治療を希望するのか、例えば「痛みをなくしたい」のか「安心してものが食べられる歯を入れたい」のかなど、ニーズを理解する能力も重要です。

 患者の希望を聞かずに強引に治療を勧めたり、『100%安全』『一生もつ』など利点ばかりを強調する歯科医師は良心的とは言えません。リスクもきちんと説明し、最終的には患者さん自身が治療法を選択できるようにしてくれるのがいい歯科医師です。 

 

  さらに、患者側の、歯の健康に対する意識の低さ、病気や治療への知識不足、歯科医師についての理解不足なども「いい歯医者さん」に巡り会えない原因一つと考えられます。歯科の病気や治療について勉強することや、患者にとって都合のいい情報だけをうのみにせず、正しい情報を取捨選択する力を養うことが大切です。一つの歯科医院を受診して、情報不足の場合はセカンドオピニオン、サードオピニオンを求める勇気も必要です。

  患者にとって、歯科医師の専門性や技術力の高さを知るのは難しいし、そこまで意識している人は少ないとは思いますが、多くの人は知人から聞いた評判や近いからといった利便性で歯科医院を選んでいるのではないでしょうか? 実際、むし歯の治療目的で矯正歯科を受診してしまうなど、歯科への理解が不十分な方や、「設備が豪華」「休日も診療してくれる」など、見た目や利便性で選んでいる方もいるようです。 

 いい歯医者と巡り合うためには、まずは患者側も努力して情報を集め、歯科医院や歯科医師の基本を知り、賢い患者になることが大切なのです。

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