top of page

診療についての考え方

 

 

診療日について

 

 最近は、「日曜祝日も診療します」という歯科医院が増えてきています。忙しくて平日歯医者に行けないという人には大変ありがたいことだと思うのですが、実は問題点もあります。それは、「セミナーや勉強会、学会は主に週末に行われる」ということです。

 歯科医療は日々進歩しているため、より良い医療を提供するためには歯医者になってからも日々勉強し 続ける必要があります。勉強は本を読むというのも有効なのですが、やはり実際にセミナーや勉強会、学会などに足を運ぶことが必要です。これらのセミナーや 学会のほとんどは週末に行われていますので、週末に診療をしていると勉強をしに行くことができず、最新の情報から取り残されてしまいがちになります。歯科 医師が複数いれば、シフトを工夫して週末も診療をすることが出来るのでしょうが、現在の本院の体制では到底無理な話です。患者の皆様には是非ご理解をお願 いいたします。

 

 

十分な説明を心掛けています

 

 単に虫歯や歯周病の治療を行うことが歯科治療ではありません。トラブルが起きた原因を究明し、その 理由と今後の対策を患者さんに分かりやすく説明し、再び同じようなことが起こらないよう、そして、その後一生自分の歯を守ることができるようにするのが本 当の歯科治療と考えています。

 しっかりした治療を目差すのであれば、必然的に十分な説明を行う必要性が出てくるものです。

また、歯科の治療には様々な選択肢があり、その選択を患者さん自身に委ねることもあります。その際、十分な説明と情報提供を行って、患者さんに自分のお口の状態を理解をして頂かないと、本当の意味でのベストな治療法の選択はできません。

 したがいまして、本院では可能な限り治療に関する十分な説明をするよう心掛けています。

 

 

ルーペ(拡大鏡)の使用

 

 設備が良ければ腕も良いというわけではありませんが、ある一定以上のレベルの精密な治療を行おうと思ったらどうしても必要になる道具があります。それは、視野を拡大するルーペ(拡大鏡)です

「無くても治療できる!」という先生もいらっしゃいますが、実際に一度使い始める と、裸眼での治療は怖くてできなくなってしまいます。ルーペで普段から視野を拡大して治療を行っていると、肉眼での1mmが10mm程に感じます。そして 何より、拡大していない状態(肉眼)では見えないものが沢山あります。

 道具が治療をするわけではありませんが、ある一定以上のレベルの精密な治療をしようと思ったら、ルーペはどうしても必要な道具です。

良い仕事をするには時間も必要

 

 「早い歯医者は上手い歯医者」と思っている方も多いようですが、それはちょっと違います。

 歯科治療は丁寧にやればやるほど、精密に行えば行うほど、時間がか かります。実は、健康保険で行う治療の場合には、丁寧に治療を行っても、手抜きでササッと行っても、歯科医院側が得られる収入に変わりがありません。つま り、保険で手っ取り早く稼ごうと思ったら適当に早く治療を終わらせて、多くの患者さんを診れば良いわけです。そういう歯科医は患者さんから見ると、短時間 で治療を終わらせることのできる腕の良い歯科医に見えることが多く、医院は患者さんで溢れかえっていたりします。ただ、歯科医院側も悪意があって短時間で 治療を行っているわけではなく、保険の限られた中で精一杯の努力をしている結果そうなってしまうという場合もあります。いずれにしても、良い治療を行うた めには十分な時間が絶対に必要です。逆に考えると、保険にも関わらず治療や説明に十分な時間をとってくれる歯科医は、良い歯科医と言えるのではないかと思 います。

 本院では患者さんお一人お一人の時間を確保して出来る限り良い診療を行うために、予約制を採っています。

 

 

 

削って詰めるのが歯科治療ではありません

 

 例えば虫歯を削って詰める治療を行った場合、その治療がどんなにレ ベルの高い治療であったとしても、虫歯になる前の歯と比べると再び虫歯になりやすくなっています。そのため、虫歯になってしまった本当の原因を取り除かな いことには、高確率で再び虫歯が再発し、再治療が必要となります。

 実際、歯科治療の約7割は過去に治療を行った部分の再治療です。虫歯というのはただの結果であり、原因ではありません。そして、虫歯を削って詰めるだけで原因を取り除こうとしない治療は、「治療」ではなく単なる「修繕」と言ってよいでしょう。

 削って詰めるだけではなく、なぜそうなってしまったのか?どうすれば再び同じ事を繰り返さずに済ませることができるのか?というようなことを患者さんに分かりやすく説明すること大切だと考えています。

 

 

 

行き着くところは「予防」

 

 どんなに良い治療であっても、元々の自分の歯には及びません。ほと んどの方は虫歯や歯周病、あるいは歯が無くなって支障が出てから、あれこれ悩むことになるのですが、本当はトラブルが起きる前に、「どうすれば予防ができ るのか?」ということを知って実行していれば、健康にとって有益で、お金や手間もかからないのです。

 例えば、次に上げるような症例。「すれ違い咬合」と呼ばれ、上下ともに歯は何本か残っているにも関わらず自分の歯で咬むところがなくなってしまった状態です。

 

すれ違い咬合

​ この状態は入れ歯にとって最も厳しい状態なのです。

 このまま部分入れ歯を作ると、入れ歯は転覆、回転しやすく、くい込んで痛みがでやすすい入れ歯にしかなりません。自分の歯にかけた針金も外れやすく入れ歯が安定しません。すれ違い咬合の入れ歯は普通の部分入れ歯よりも何倍も難しいのです。

 したがって、このような場合、通常、インプラントが第一選択肢となります。歯がなくなってしまった場所にインプラントでかみ合わせを作ってあげるのです。 

 他の方法としては、上または下の歯を削って総入れ歯に近い形にしてしまうという方法があります。いずれにしても健康保険の適用範囲の治療ではできません。

 

 本院ではインプラントは取り扱っておりませんので、インプラントをご希望される場合は、他医院へ紹介することになります。入れ歯での治療をご希望される場合は、よく相談した上で総入れ歯に近い形の部分入れ歯を作ります。

 

 最も良い方法は 何よりすれ違い咬合にしないことなのです。

 

 入れ歯でなくても、詰めたり被せたり、治療をした歯は再びトラブルが起きやすくなります。今まで以上に予防を頑張ることがトラブル再発防止のための絶対条件となります。

 本当に歯を守ろうと思うのであれば、患者さん自身が予防についての知識を身につけることが必須となります。

「治療をしてハイ終わり」というよりも、治療の前、そして後に予防指導をしてくれる歯科医が、良い歯科医であると考えています。

 

 

治療にかける「熱い心」と「思いやり」

 

 良い歯科医の条件として「心・技・知」というものがありますが、その中でも特に「心」というものが、良い歯科医の最重要ポイントだと思っています。

 治療の上手下手、知識のあるなしは当然重要な要素ではありますが、 歯科治療にかける熱い心と患者さんへの思いやり。これが良い歯科医として最も重要です。毎日精一杯診療をしていますが、思うような結果とならないこともあ ります。極端なことを言えば、「この先生に治療してもらってダメなら仕方がない」と思ってもらえる歯科医、そうなれるよう日々努力をしていきたいと思って います。

                  
院長 竹内操 

 

 

 

 

 

bottom of page